2019 年 39 巻 5 号 p. 975-978
症例は36歳女性。右鼠径部の疼痛と小さなしこりを自覚し,翌日当院を紹介受診した。右大腿部に10mm大の膨隆を認め,用手還納は不可能であった。腹部CT検査で右大腿部に10mm大の腫瘤像を認め,明らかな腸閉塞像は認めなかった。また,経膣エコー検査で正常な両側卵巣が骨盤内にあることも確認した。内容は不明の右大腿ヘルニア嵌頓と診断し,同日緊急手術を施行した。腹腔鏡下で観察すると,右大腿輪に右卵管が嵌頓していた。腹腔鏡操作で右卵管を還納した後,myopectineal orifice(筋恥骨孔)をmeshで修復した。嵌頓していた右卵管の血流障害は認めなかった。術後経過は良好で,術後3日目に退院となった。イレウス症状を伴わない女性の大腿ヘルニアは,その内容が付属器である可能性を念頭に置く必要があり,腹腔鏡手術はヘルニア内容の確認が容易で,診断治療に有用であると考えられた。