日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
急性期に前方アプローチにて根治的筋膜閉鎖を行った外傷性腹壁ヘルニアの1例
室野井 智博比良 英司綿引 萌花藏本 俊輔岡 和幸下条 芳秀木谷 昭彦渡部 広明
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 39 巻 6 号 p. 1069-1074

詳細
抄録

症例は20歳男性。バイクで転倒し,腹腔内出血の疑いで搬送となった。CTで,右内外腹斜筋,腹横筋の断裂を認め外傷性腹壁ヘルニアと診断した。右腎損傷,上行結腸腸間膜損傷を認めたが,保存的治療を選択し,その増悪がないことを確認のうえ,第5病日に外傷性腹壁ヘルニアに対して,前方アプローチで筋膜閉鎖およびメッシュを用いてのヘルニア修復術を施行した。外傷性腹壁ヘルニアに対する腹腔鏡下手術が本邦で報告されて以降の外傷性腹壁ヘルニア報告例は14例であった。その術式と受傷から発症までの時間を検討すると,受傷早期の修復は前方アプローチで腹壁筋の縫合がなされ,遅発性発症に対しては腹腔鏡下手術が選択されていた。本症例では,前方アプローチで腹壁筋の縫合を行い,良好な成績を得た。外傷性腹壁ヘルニアは前方アプローチで早期手術を行うことで筋膜閉鎖が可能となり,QOLの向上に寄与する可能性がある。発症時期および合併損傷の有無を考慮して,手術のタイミングおよび術式を選択すべきである。

著者関連情報
© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top