2019 年 39 巻 6 号 p. 1163-1166
症例は膵臓癌で亜全胃温存膵頭十二指腸切除(Child法再建)の既往がある50歳代女性。術後3年目,肝内胆管結石に対しダブルバルーン内視鏡を用いた治療的ERCPによる除石術が施行された。手技終了時に心停止に陥り,原因検索の造影CTで腹腔内出血と肝外側区下面に血管外漏出像が認められた。ただちに血管造影を施行,左肝動脈A3末梢に出血像を認め,CTとあわせて肝表面の損傷による出血と診断,ゼラチンスポンジで塞栓し止血し得た。改めて画像を検討した所,出血点である肝表面には輸入脚が恒常的に接しており,癒着の存在が示唆された。したがって内視鏡操作による癒着の剝離により肝被膜が損傷,腹腔内出血をきたしたものと考えられた。治療的ERCPは大変有用な治療手段であるが,消化管再建例においては,一般的な合併症以外に,まれではあるが癒着に起因した合併症が発生しうることを認識しておくことが重要である。