2020 年 40 巻 1 号 p. 45-47
腹直筋離開(rectus abdominis diastasis:以下,RAD)は臍ヘルニア術後再発の高リスク因子といわれ,小さい臍ヘルニアでもメッシュを用いた修復術が推奨されている。今回,妊娠を契機に発症したRADを伴う臍ヘルニアに対し腹腔鏡下手術を行った。症例は2回の経腟分娩歴のある36歳女性。第2子出産後より臍部の膨隆を自覚し,自己で還納を繰り返していた。今回,臍部の疼痛を契機に当院を受診した。臍ヘルニアと臍上部のRADを認め,composite meshによる補強を行った。修復に対する満足度は高く,術後約3年経過したが再発は認めていない。本邦ではRADという病態がほとんど着目されておらず,本症例もRADの存在に気づかなければ術式を誤る可能性があった。臍ヘルニアの診断・治療にはRADの合併に留意する必要があると考えられた。