日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腫瘤形成性虫垂憩室炎の1例
赤嶺 健吏高城 千彰渡邉 照彦大迫 政彦田畑 峯雄
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2020 年 40 巻 4 号 p. 535-539

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抄録

虫垂憩室炎はまれな疾患で術前診断は困難とされ,虫垂炎として治療されることが多い。腫瘍との鑑別が必要となることもあるが,治療戦略は確立されていない。今回,われわれは腫瘍または膿瘍形成性の急性虫垂炎と術前診断された虫垂憩室炎を経験した。症例は93歳女性で,右下腹部痛の精査で行ったCT検査で,膿瘍形成性の虫垂炎または虫垂腫瘍が疑われた。血液検査で炎症所見を認め,腫瘤性病変の精査より,炎症性疾患の早期治療を優先し緊急手術を施行した。腹腔鏡所見で虫垂先端に約3cmの腫瘤様構造を認めた。虫垂根部を含め腹腔鏡下盲腸部分切除術を施行した。病理診断では虫垂憩室炎であった。虫垂は加齢により萎縮するため高齢の虫垂炎症性疾患はまれとされる。本症例は,本邦で報告された2例目の90歳以上の虫垂憩室炎で貴重な症例と思われた。腫瘍との鑑別と炎症性疾患の治療を同時に考える必要があり,腹腔鏡での観察が方針の決定に有用であった。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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