日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
脾臓低形成の関与が示唆された侵襲性肺炎球菌感染症の1例
新保 敏史
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2020 年 40 巻 4 号 p. 575-579

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抄録

症例は46歳男性。腹部全体の鈍痛・下痢・嘔吐を主訴に当院へ救急搬送された。体温は40.5℃,腹部は軟で,心窩部に軽度圧痛を認めた。血液検査では軽度の炎症所見を認めるのみで,腹部CT検査では急性胃腸炎の所見であった。入院後,補液による加療を行ったが,来院約12時間後に突然ショックとなった。Disseminated intravascular coagulation(以下,DIC)を併発しており,救命処置を行ったが,死亡した。病理解剖でDICによる多臓器不全と診断された。後日入院中に採取した血液培養から肺炎球菌が検出されたため侵襲性肺炎球菌感染症と診断した。また入院時のCT検査で脾臓が小さく,体積は38.6mLであり,脾臓低形成であった。脾臓低形成による免疫機能低下の関与が疑われた侵襲性肺炎球菌感染症の症例はまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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