日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
進行直腸癌穿通に起因する広範なフルニエ症候群症例においてデブリードマンと下肢切断が全身状態改善に有効であった1例
大西 敏雄上田 順彦三浦 聖子甲斐田 大資小坂 健夫
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2020 年 40 巻 4 号 p. 601-604

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抄録

フルニエ壊疽は痔瘻,肛門周囲膿瘍や泌尿器科疾患が原因となる場合が多く直腸癌を原因に発症した報告は少ない。今回直腸癌の穿通によりフルニエ壊疽を発症した1例を経験したので報告する。症例は70歳台男性で発熱,右下腹部痛を主訴に近医受診。腹部CTで直腸癌穿通と診断され人工肛門造設術を施行された。しかし,炎症反応の改善が乏しいため当院に紹介となった。直腸癌穿通のフルニエ壊疽と診断し緊急でのデブリードマンを施行した。洗浄とデブリードマンを繰り返し炎症反応は鎮静化した。デブリードマンを施行した部位からのアルブミン漏出が激しく血行動態安定のために下肢切断術を選択した。術前より肺転移を認めていた症例であり全身化学療法による治療を行ったが術後8ヵ月後に永眠された。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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