2021 年 41 巻 1 号 p. 33-36
症例は70歳男性。糖尿病性腎症による慢性腎不全で17年前から血液透析中で,高リン血症のためカルシウム非含有リン吸着薬であるセベラマー塩酸塩を内服中であった。近医で透析中に好中球の左方偏位とCRPの著明な上昇を指摘され,精査目的で当院へ紹介された。右下腹部に軽度の圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった。腹部CTで腸管外遊離ガスを認めたため,緊急開腹手術を施行した。空腸の腸間膜側に多発する憩室を認め,Treitz靭帯から1.1mの空腸の憩室が腸間膜に穿孔穿通していた。穿通部を含めて約30cmの空腸を切除し端々吻合した。病理所見では穿孔部に一致してセベラマー塩酸塩の結晶を認めた。術後経過は良好で18日で退院した。セベラマー塩酸塩の注意すべき合併症として報告する。