2021 年 41 巻 1 号 p. 37-40
症例は81歳男性。9年前に右腎癌に対して根治術を施行されていた。上下部消化管内視鏡検査で出血源を同定できない,原因不明の貧血の精査目的に紹介受診となった。体幹部ダイナミックCTで上部空腸に腫瘍濃染像を認め,同部位が出血源と考えられ,緊急開腹手術を施行した。術中所見ではTreitz靭帯から100cmの上部空腸に一部漿膜側に露出するような1.5cm大の腫瘤を認め,同部位を含むように小腸部分切除術を施行した。病理組織学的検査の結果,9年前の右腎癌の異時性転移と診断された。腎癌は切除後長期間が経過した後に他臓器への転移をきたすことが知られている。小腸転移は本邦では比較的まれな病態であるが,貧血や腸重積などを契機に発見されることが多い。若干の文献的考察を添えて報告する。