2021 年 41 巻 1 号 p. 59-62
66歳女性。来院8日前から不正性器出血を認め,前医婦人科で子宮頸部腺癌(Ⅱ期)と診断されていた。6日前より上腹部痛を自覚し前医で腹部単純CTを施行され上腹部を中心とした腹水貯留,free airを認めたため汎発性腹膜炎の診断で,同日当院婦人科に紹介となった。婦人科より上部消化管穿孔の疑いで救命救急センターへ紹介となり,上部消化管穿孔に伴う汎発性腹膜炎の術前診断のもと,緊急開腹手術とした。しかし消化管穿孔部位を検索したが同定できず,子宮底部中央に約5mmの穿孔を認めた。子宮頸癌による頸管狭窄に伴う子宮留膿腫穿孔,汎発性腹膜炎と診断し,穿孔部をデブリードメントし単純縫合閉鎖,腹腔内洗浄,経膣的ドレナージを行った。術後経過良好であり化学療法後,術後121日目に広汎子宮全摘,両側付属器切除,後腹膜リンパ節郭清を施行した。2期的に手術を行うことで救命と癌の根治をめざすことができたと考えられた。