2021 年 41 巻 1 号 p. 79-82
腹腔鏡下胆囊摘出術時の落下結石が腹腔内膿瘍の原因となることが知られているが,落下遺残クリップ周囲に膿瘍形成した報告例は少ない。症例は87歳男性。胆囊結石症に対して腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した。胆囊は慢性炎症を認め,剝離操作で胆囊壁を損傷し胆汁が腹腔内に流出した。切除胆囊側に使用したサージカルクリップ1個が落下してモリソン窩に遺残していた。手術から3年後,右側腹部痛を主訴に受診した。CT検査でモリソン窩のクリップ周囲に8.0×4.5cmの腹腔内膿瘍を認めた。経皮的膿瘍ドレナージの後にクリップ摘出術を施行した。胆囊摘出術後早期にはモリソン窩に膿瘍を形成していないことから,クリップに付着した感染胆汁が原因で晩期に膿瘍形成したものと推察された。腹腔鏡下胆囊摘出術において,感染が疑われる胆汁が付着した脱落クリップは,放置せず摘出しておくことが望ましい。