2021 年 41 巻 1 号 p. 83-87
症例は55歳男性。2日前からの右下腹部痛,発熱を主訴に当院を受診した。造影CTで下腹部に辺縁が濃染される15cm大の腫瘤を認め,内部には鏡面像形成およびairの貯留を伴っていた。WBCとCRPの高度上昇も認め,虫垂炎穿孔による腹腔内膿瘍を疑い緊急手術を施行した。開腹すると膿瘍形成はなく,小腸に連続する境界明瞭な小児頭大の腫瘍を認めたため,同部の小腸部分切除術を施行した。腫瘍は充実成分と囊胞成分が混在し,暗赤色の液体が貯留していた。c-kit陽性,核分裂像2/50HPF,最大径15cmで小腸GIST高リスク群と診断した。小腸GISTは発見が遅れるため腫瘍が増大して内部壊死,感染を引き起こし,腹腔内膿瘍と同様の所見および経過をたどることがある。今回その1例を経験したため文献的考察を含めて報告する。