日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
統合失調症で他院入院中に当院紹介となった急性虫垂炎8例の検討
権田 紘丈青葉 太郎平松 和洋有元 淳記
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キーワード: 統合失調症, 急性虫垂炎
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2021 年 41 巻 1 号 p. 99-102

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抄録

当院は精神科病床を有しておらず,外科的疾患を有する統合失調症患者に関しては他院から紹介となる場合が多い。今回われわれは,2014月1月から2020年1月までに統合失調症で他院精神科入院中に当院一般外科へ紹介となった急性虫垂炎8例の検討を行った。年齢の中央値は56歳で,全例で同日緊急手術となった。開腹手術が6例,腹腔鏡手術が2例であった。7例は壊疽性虫垂炎で,5例に虫垂穿孔を認めた。術後合併症は4例に生じた。統合失調症の症状で当院での入院継続困難となった症例は1例であった。在院日数の中央値は8日で,退院後は全例で紹介元病院へ転院となった。統合失調症を合併した急性虫垂炎症例では虫垂穿孔および術後合併症の頻度が高く,それらのリスクを考慮したうえで周術期管理に臨む必要があると考えられた。

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© 2021, Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
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