2021 年 41 巻 3 号 p. 151-153
症例は44歳女性。腹痛を主訴に当院受診した。42ヵ月前にS状結腸癌に対して腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した。S状結腸肛門側は自動縫合器で切離し,double stapling techniqueで吻合を行った。腹部CT検査ではclosed loopを伴う腸管拡張とwhirl signを認め,絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した。腹部正中切開で開腹し,骨盤内の小腸を用手的に挙上すると索状物によるものと思われる絞扼は解除されており,Treitz靭帯より190cmの部位から回腸末端より110cmの部位まで50cmの腸管虚血を認めた。絞扼腸管の口側にステイプル針を含む索状物形成を認めるとともに肛門側の小腸間膜に瘢痕を認めたため,落下ステイプル針による絞扼性腸閉塞と推測した。腸切除は施行しなかった。ステイプル針は絞扼性腸閉塞の原因となりうるため,術中に落下させない工夫が肝要であると考えられた。