2021 年 41 巻 3 号 p. 145-149
症例は84歳,男性。黒色便を主訴に近医を受診した。貧血を認めたが上部内視鏡検査で出血源を指摘できず,当院紹介となった。精査の結果,出血源は認められず,食事を開始したところ下血を生じた。小腸出血を疑い,カプセル内視鏡施行されたが,出血源は特定されなかった。造影CTを再検され,小腸に造影効果を伴う腫瘤が認められた。小腸内視鏡検査では病変に到達できず,外科的切除の方針となった。小腸部分切除術を施行され,病理組織学的検査でpyogenic granulomaと診断された。Pyogenic granulomaは皮膚や口腔に好発する血管腫であり,小腸に発生するものは極めてまれだが,重度の貧血をきたした症例も報告されている。消化管出血をきたす原因として念頭に置くべきだが,診断に難渋することも少なくない。消化管出血の原因となり,診断に難渋した空腸pyogenic granulomaに対し外科的切除を施行した症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。