日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
術前診断し腹腔鏡下手術を施行し得た肝鎌状間膜裂孔ヘルニアの1例
鹿川 大二郎長濱 正吉知花 朝史上江洌 一平知念 順樹友利 寛文宮里 浩又吉 隆
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2021 年 41 巻 4 号 p. 281-284

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抄録

症例は腹部手術歴のない47歳の女性で,徐々に増悪する心窩部痛を主訴に当科を受診した。腹部CTで肝表面と腹壁の間の拡張した小腸が両端閉塞型ループを形成し,その尾側に臍静脈索を認めた。肝鎌状間膜裂孔ヘルニアによる小腸絞扼性腸閉塞と診断し,緊急で腹腔鏡下修復術を施行した。術中所見では術前診断通りに肝鎌状間膜裂孔ヘルニアを認め,小腸が右側から左側に貫通し嵌頓していたが,腸管壊死は認めなかった。裂孔を開大し腸管を整復した後,肝鎌状間膜を修復し手術を終了した。術後経過は良好で,術後1日目より食事を再開し,術後3日目に退院した。肝鎌状間膜裂孔ヘルニアは非常にまれな内ヘルニアであり,術前診断に苦慮すると思われるが,CTにおいて拡張腸管の尾側で臍静脈索を確認することが診断の一助となり得ると考えられた。

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© 2021, Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
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