日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
Direct Kugel法を用いて修復した閉鎖孔ヘルニアの2例
伊藤 武安藤 雅規山下 克也
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2021 年 41 巻 4 号 p. 277-280

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抄録

閉鎖孔ヘルニアは痩せた高齢女性に好発する骨盤ヘルニアである。嵌頓例では腸閉塞を呈し,全身麻酔下に緊急開腹術が行われることが多かった。近年画像診断の進歩・普及により術前診断は容易となってきており,非観血的整復後に待機的に手術が行われることも多くなった。Direct Kugel法で手術を行った閉鎖孔ヘルニアの2例を経験したので報告する。症例は91歳と92歳の女性。腹痛・嘔吐の精査で閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞の診断であった。1例目は嵌頓解除後待機的に,2例目は緊急で手術を行った。2例とも鼠径アプローチによるDirect Kugel法で修復を行った。手術時間は短時間であり,術後の経過も良好であった。鼠径アプローチによるDirect Kugel法を用いた閉鎖孔ヘルニア修復術は緊急手術であっても低侵襲と考えられ,安全かつ確実にヘルニアの修復が可能であると考えられた。

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© 2021, Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
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