2024 年 85 巻 9 号 p. 1259-1263
患者は48歳,女性.右下腹部痛を主訴に他院で注腸造影を行い,肝彎曲部に狭窄を伴った上行結腸癌を疑い当科に紹介された.CTでは大きな腫瘤の周囲に強い炎症を伴っており,血液検査でも炎症反応上昇とCEA軽度上昇を認めた.狭窄が強いため大腸内視鏡は施行せずにすぐ切除する方針とし,開腹下に結腸右半切除を施行した.術中所見でも進行上行結腸癌が疑われ,かつ周囲に小さな膿瘍形成や広範な炎症性変化を伴っていたが,切除標本の肉眼的所見は,腫瘤の主座は腸管壁~壁外であり,粘膜面には多数の長い絨毛状隆起の増生を認めた.病理検索では腫瘤に腫瘍成分は認めず,憩室炎による炎症性腫瘤と考えられ,粘膜上皮の隆起も過形成性変化のみでfiliform polyposisと診断された.
Filiform polyposisは慢性炎症に伴う稀な病態であり,主に炎症性腸疾患に合併するが,憩室炎に合併する症例はさらに稀である.