2023 年 43 巻 4 号 p. 723-727
腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:以下,ACS)は致命的な病態である。一般に,ACSの内科的治療を行っても腹腔内圧が下がらずに26mmHg以上のGrade Ⅳ状態かつ臓器障害を認める場合は,内科的治療の限界であるため外科的治療つまりopen abdomen management(以下,OAM)を行うことになる。しかし,一旦OAMとなった後の根治的閉腹に至るまでの経過は画一的なものではなく,各局面で治療方針の判断を下すにあたって常に理想と現実の狭間で悩まされることになる。