2024 年 44 巻 1 号 p. 93-96
症例は80歳,女性。突然発症の腹痛と嘔吐を主訴に当院へ救急搬送された。腹部CTで消化管穿孔の診断で入院となった。既往歴は高血圧,関節リウマチで18年前よりメトトレキサート(methotrexate:以下,MTX)内服中であった。入院同日に緊急手術を施行。術中所見で回腸末端に穿孔部を認め,その肛門側と口側におのおの絞扼痕を認めた。絞扼痕を切除する範囲で小腸切除し,洗浄ドレナージを行い手術終了した。術後経過は良好で第18術後病日に退院となった。切除標本で,穿孔を伴う2cm大の潰瘍をはじめ,多発潰瘍を認めた。病理診断でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の形態を示すMTX関連リンパ増殖性疾患が認められた。術後よりMTXは中止し,再燃はなく経過観察中である。MTX長期内服患者においては,消化管穿孔の有害事象を念頭に置く必要がある。