日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹腔内圧上昇のため緊急脱気を要した特発性気腹症の1例
栗正 誠也西村 哲郎溝端 康光
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2024 年 44 巻 4 号 p. 657-661

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抄録

患者は57歳の男性。バイク事故で受傷し当院に救急搬送された。呼吸数24/分,SpO2 93%(O2 10L/分)と呼吸状態が悪く,右胸部にフレイルチェストを認めた。右胸腔ドレナージを施行した後にCT検査を行ったところ,右第2~7肋骨骨折,外傷性血気胸を認めた。気管挿管を行い,陽圧換気を開始した。入院翌日に肋骨プレート固定による胸郭形成と肺縫縮術を行った。手術後にCTを再検したところ,腹腔内遊離ガスを多量に認めた。消化管穿孔を示唆する他の所見はなかったが,腹部は緊満し膀胱内圧が19mmHgと高値であり腹腔内の緊急脱気を行った。その後は定期的な膀胱内圧測定を含む全身管理を行ったが外科的介入を要さず,術後4日目に抜管し術後31日目にリハビリ目的に転院した。外傷性の特発性気腹症が腹腔内圧上昇をきたした報告は過去になかったが,腹部コンパートメント症候群を回避するために早期の認知介入が必要である。

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