2024 年 44 巻 7 号 p. 903-906
症例は糖尿病,高血圧,うっ血性心不全を既往にもつ77歳,男性。2022年X月,右下腹部痛を主訴に当院の救急外来を受診した。腹部造影CT検査で回盲部腸管の壊死と診断され,同日緊急手術を行う方針とした。手術所見で終末回腸・盲腸・上行結腸の一部に限局した壊死を認めたが,そのほかの小腸・大腸には変色や壊死はなかった。回盲部切除を行い,上行結腸,回腸で二連銃式人工肛門を造設した。病理組織学的所見では明らかな血栓や血管炎を認めず,壊死が回盲部に限局していることから,盲腸枝のみに血管れん縮が起きたと考えられた。れん縮を惹起する急性疾患が指摘できず限局した壊死であることから非閉塞性腸管虚血症とは異なる病態であり,特発性の血管れん縮による腸管因子の関与のない壊死型虚血性腸炎と捉えることができた。