2024 年 44 巻 7 号 p. 907-911
回腸子宮内膜症は腸管子宮内膜症の7%を占めるまれな疾患である。われわれは回腸子宮内膜症による腸閉塞に対し,緊急手術を施行した閉経後女性の1例を報告する。腸管子宮内膜症は腹痛,血便,腸閉塞などの症状を引き起こす。術前診断は困難で術中に診断されることも多い。子宮内膜症組織が経血を介して筋層や漿膜下層に存在するため,内視鏡検査では特徴的な所見が少なく組織生検による診断は困難である。診断にはMRI検査,マルチスライスCT検査,CA-125などの有用性が報告されているが救急外来での迅速な術前診断は困難である。子宮内膜症はエストロゲン依存性疾患だが,閉経後の女性の2~5%に子宮内膜症を認める。閉経後の子宮内膜症は機序が明らかでない。閉経後の腸管子宮内膜症の報告は1例のみで非常にまれである。原因が特定できない急性腹症例は,閉経後女性であっても腸管子宮内膜症を鑑別する必要があると考えられた。