2025 年 45 巻 3 号 p. 435-438
症例は腹部手術歴のない75歳,男性。心窩部痛と嘔吐を主訴に受診し,腹部造影CT検査でTreitz靭帯近傍にclosed loopを形成しており,腹腔鏡下癒着解除術を施行した。術中所見では,Treitz靭帯近傍の横行結腸間膜と空腸間膜の癒着がヘルニア門を形成し,空腸が20cm程度嵌入していた。嵌頓を解除し,間膜の癒着をすべて剝離しヘルニア門を解放した。術後経過は良好で第10病日に退院し,術後半年間ヘルニアの再発を認めていない。左傍十二指腸ヘルニアの場合,Treitz靭帯近傍で下腸間膜静脈の背側にヘルニア門が形成されるが,左傍十二指腸ヘルニア変異型の場合は下腸間膜静脈の腹側に,後天的な癒着によりヘルニア門が形成される。他に下腸間膜静脈の腹側にヘルニア門を認めるものとして横行結腸間膜ヘルニアがあげられるが,術前画像では鑑別は困難であり術中に最終判断が必要となる。変異型の場合ヘルニア門を縫縮する必要はないと思われ,腹腔鏡手術のよい適応と考える。