日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:COVID-19感染症と腹部救急診療
COVID-19感染拡大による本邦の腹部救急疾患治療への影響
─消化管穿孔(胃・十二指腸穿孔,大腸穿孔)術後短期成績からの検討─
小川 真平吉田 雅博靏 知光板野 理板橋 道朗
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 45 巻 4 号 p. 440-448

詳細
抄録

COVID-19感染症は医療にさまざまな影響を与えた。救急医療では救急搬送困難例が増加するなど患者受け入れ体制に関する課題が浮き彫りになった。また,治療介入の遅延が治療成績に影響を及ぼしたことが報告されている。われわれはNCDのデータを用いて感染流行中の胃十二指腸および大腸穿孔の術後短期成績への影響について検討した。リスク調整標準化死亡(合併症)比が有意に高値であった月は,胃十二指腸穿孔が合併症1度,大腸穿孔が30日死亡2度,合併症1度,また,両疾患とも手術関連死亡にはなかったことから影響は限定的であり,腹部救急医療体制はおおむね維持されていたと考えられた。新興感染症流行などの有事では,限られた医療資源のなかで医療を効率的かつ効果的に提供することが必要である。疾患の重症度や治療介入の緊急性を考慮し適切なトリアージ機能を確立すること,受け入れ医療機関の確保や各機関での連携,役割分担を図ることが重要である。

著者関連情報
© 日本腹部救急医学会
次の記事
feedback
Top