2025 年 45 巻 4 号 p. 453-457
出血性胃十二指腸潰瘍は内視鏡的治療や血管内治療でほぼ止血可能であるが,止血困難で循環不安定な場合に手術が必要となることがあり,このような出血性ショックの治療戦略において外傷のダメージコントロール手術(damage control surgery:以下,DCS)の概念は有用である。2019年1月から2023年12月までの5年間に手術した出血性胃十二指腸潰瘍の9例について検討した。全例男性で平均年齢73歳であった。全例で循環不全を認め,6例に大動脈内バルーン遮断(resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta:以下,REBOA)を使用した。院外心停止で搬送された1例以外は内視鏡的止血術が困難なので手術の方針となった。術式は,胃・十二指腸切開による縫合止血術が8例,胃切除術が1例,うち2例は計画的二期的手術を施行した。救命できなかったのは経過中に心停止した2例である。危機的状況の出血性胃十二指腸潰瘍では,REBOAとDCSを活用することで,確実な止血を得て救命することができる。