2025 年 45 巻 4 号 p. 458-462
症例は外傷歴のない79歳,男性。激しい心窩部痛で救急受診した。循環血行動態は安定しており,採血検査で軽度の貧血を認めた。Dynamic CTで肝Segment 2に虚脱した囊胞を認め,囊胞内容液と周囲腹水のCT値は同程度に上昇していた。腹水穿刺で血性腹水を認めたため,出血性肝囊胞自然破裂と診断し,腹腔鏡下肝囊胞天蓋切除術,止血術を施行し,根治し得た。腹腔鏡下手術は囊胞内に腹腔鏡を挿入することによる死角の消失,拡大視効果による出血点の同定において優れた術式であると考えられるが,その報告例はいまだ少ない。診断の要点,本術式の利点と限界を含め,文献学的考察を加えて報告する。