2025 年 45 巻 4 号 p. 463-465
症例は90歳,女性。2年4ヵ月前に左閉鎖孔ヘルニアを非観血的に整復したが高齢を理由にヘルニア修復術を施行しなかった。3日前からの嘔吐と食欲不振を主訴に受診し,CTで左閉鎖孔ヘルニア嵌頓の再発と診断されたが,超音波ガイド下でも非観血的整復は困難であった。嵌頓した腸管内容の平均CT値を測定したところ,非観血的整復を行った初回発症時のCT値は9.76HUと低かったが,腸管切除を行った再発時のCT値は23.7HUと高値であった。腹腔鏡下で嵌頓腸管を整復して小腸の壊死部を楔状切除し,閉鎖孔ヘルニア門を縫合閉鎖した。閉鎖孔ヘルニアにおける嵌頓腸管内容のCT値を同一症例で比較した報告はなく,腸管虚血を予測する指標として有用であった。また文献的に閉鎖孔ヘルニア嵌頓の再発率は比較的低いものの,非観血的整復が可能であった場合でも再発を防止する目的で待機的にヘルニア修復術を行うべきと考えられた。