2025 年 45 巻 5 号 p. 515-518
症例は85歳,女性。逆流性食道炎に対して投薬加療中に食思不振,嘔吐を主訴に受診した。胸腹部単純CT検査でupside-down stomachを伴う食道裂孔ヘルニアと,ヘルニア囊内に遊離ガスを指摘され,食道裂孔ヘルニア囊内での胃穿孔を疑い,同日腹腔鏡下に緊急手術を施行した。手術所見では縦隔内に全胃が脱出しており,ヘルニア囊内に褐色液体,膿苔付着を認め,胃穹窿部漿膜筋層に裂傷を生じ,粘膜下層が露出した部位を認めたが明らかな穿孔部は指摘できなかった。Upside-down stomachを起因とし,嘔吐による内圧上昇が原因で胃の漿膜筋層に裂傷をきたしたと考えられた。腹腔鏡下胃部分切除,食道裂孔縫縮,His角形成術を施行した。術後,ICUでの全身管理を必要としたが重篤な合併症なく経過し,術34日目に退院となった。