2025 年 45 巻 5 号 p. 519-522
症例は14歳,女性。嘔気と右下腹部痛を主訴に近医を受診。虫垂炎疑いで抗生剤を投与されるも改善せず2日後に当院へ紹介となった。右下腹部に限局性の疼痛と筋性防御を認めた。CTでは明らかな虫垂の腫大は認めなかったが,虫垂周囲から骨盤内に限局性の低吸収域を認め,膿瘍を伴った急性虫垂炎が疑われ手術を施行した。腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ,虫垂は軽度の発赤を認めるのみであったが,大網の右尾側が帯状に暗赤色に変色し,虫垂と癒着していた。虫垂を切除し,ポート孔から変色した大網を切除した。術後は良好に経過し第1病日に退院した。臨床病理学的に特発性分節性大網梗塞と診断した。本疾患はまれな疾患であるが,近年ではCT所見から術前に診断される症例が増え,保存的治療例が増えている。自験例では,本疾患の認識が不十分であったため術前診断ができなかったこと,不必要な虫垂切除を施行したことが反省点と考えられた。