2026 年 46 巻 3 号 p. 410-413
71歳,男性で,腹部膨満感を主訴に前医受診し,腸閉塞の疑いで当科紹介となった。健康維持目的に梅干しの種子を殻ごと飲み込む習慣があった。腹部造影CT検査で左側横行結腸に造影効果を伴う壁肥厚と同部位の口側結腸から回腸まで拡張を認めた。拡張腸管内腔には梅の種子と考えられる辺縁が高吸収の腫瘤性陰影を多数認めた。緊急で下部消化管内視鏡検査を施行し,横行結腸に全周性の2型病変を認め,スコープは通過不能だった。大腸ステント留置を行い腹部膨満感は軽快したが,入院3日目の腹部単純X線写真でステント口側に種子の停滞を認めたため,早期手術が必要と判断し,腹腔鏡下左半結腸切除術を施行した。術後経過良好で術後10日目に自宅退院となった。全周性大腸癌に梅の種子が閉塞した症例に対して,大腸ステント留置を行い,腸管減圧が成功したが,ステント口側の梅の種子が停滞していたため,腹腔鏡下手術を施行した1例を経験したので報告する。