2026 年 46 巻 3 号 p. 446-449
症例は39歳の男性で,プレス機械に腹部を挟まれ,受傷4時間後に腹痛を主訴に当院を独歩受診した。高エネルギー外傷と判断し,外傷初期診療ガイドライン(以下,JATEC)に準拠したprimary surveyを適用したところ,循環に異常を認め,出血性ショックと診断した。初期輸液により循環が安定化し,secondary surveyにて腸間膜単独損傷と診断した。HCUに入室し,非手術療法の方針で輸血を含む集中治療を施行したが,入室4時間後に循環が再び不安定化し,transient responderと判断した。緊急開腹すると,2ヵ所の腸間膜に裂創による欠損と滲出性出血を認め,両腸間膜欠損部の腸管を切除しておのおのを端々吻合で再建した。術後経過は順調で,術後10日目に独歩退院した。来院形態にかかわらず,高エネルギー外傷が疑われる症例に対しては,JATECの理念に基づいた初期診療を行うことが重要と思われた。