2026 年 46 巻 5 号 p. 602-606
症例は52歳男性。上腹部打撲後の腹痛を主訴に他院を受診するも異常所見なく帰宅した。その後も症状が持続するため受傷2日後に当院ERを受診し,CTで消化管穿孔を疑う所見を認めた。緊急手術を施行し,十二指腸球部に穿孔部を認め,穿孔部に対し単純縫合閉鎖+大網被覆術を施行した。術後3日目(受傷5日目)にドレーン排液が急に血性に変化し,CTで肝損傷の所見を認め,遅発性肝損傷と診断した。明らかな活動性出血は認めず保存加療の方針とした。肝損傷のうち肝被膜下破裂例では受傷後早期に症状や所見が認められないことがある。遅発性肝損傷は発見契機が腹痛以外である場合や,発症時期もばらつきが大きく長期経過後に発見される場合がある。腹部外傷後は長期経過後でも腹痛などの症状が再燃した際には必ず受診するよう指導することが重要である。