2026 年 46 巻 6 号 p. 676-679
成人の特発性小腸重積症を経験したのでこれを報告する。症例は80歳台男性,近医にて高血圧症,肺線維症のため投薬,在宅酸素療法加療中であった。X年4月に腹痛と嘔気を訴え,当院救急外来を受診した。造影CT検査にてtarget signがみられ,小腸重積症の診断にて発症から8時間後に緊急開腹手術の方針となった。トライツ靭帯から130cmの部位に40cmに渡る小腸重積を認めた。用手的に重積を解除後,腸管を観察すると視触診上,浮腫以外の腸管異常の指摘は困難であった。明らかな腸虚血所見を認めなかったが,腸管先進部の器質的病変の存在の可能性を考慮し,小腸部分切除術を施行した。切除標本上,病理所見上とも,器質的病変は認めず,特発性小腸重積症と診断した。成人の特発性小腸重積症はまれであり,本症例のように小腸腫瘍やリンパ腫などの重積腸管先進部病変の可能性を考え,小腸部分切除を施行することは許容されると考えられる。