主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会第73回研究発表大会
回次: 73
開催地: 千葉工業大学 津田沼キャンパス
開催日: 2026/06/12 - 2026/06/14
本報告では、筆者が参与した公立高校の新学科設立プロジェクトを事例に、公共領域のプロジェクトに長期間携わる一つのデザイナー像を示す。本プロジェクトでは、筆者は当初地域住民とともに構想を検討し行政や高校に提案を行う外部の提案者として関与した。その後、高校内部のコーディネーターとして構想の実行に直接携わった。本報告では、この立場の変化によって、ステークホルダーとの関係性や実践上の役割、ならびに実践者の考え方がいかに変化していったかを検討する。解決することのない厄介な問題を取り扱う公共領域の実践において、デザイナーはプロジェクトに長期間伴走し、時には組織の内部メンバーとして活動することもあり得る。組織内部の実行者として利害や制約に向き合うことになれば、自らの判断や価値観がより直接的に問われ、その姿は中立的な専門家像のみでは捉えきれない。事例の振り返りを通じて、デザイナーに求められる広範なスキルや共感をともなった意志が求められることを示す。