日本腹部救急医学会雑誌
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鈍的肝, 脾損傷に対する動脈塞栓術
CT像と血管造影所見との比較を含めて
竹吉 正文木村 浩二西原 春實島 弘志谷脇 智黒田 久志岡崎 正敏
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2003 年 23 巻 4 号 p. 597-605

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抄録
鈍的肝, 脾損傷における出血病変の描出を造影CTと血管造影で比較し, それらに対する動脈塞栓術の手技について述べた. 肝損傷20例 (IIIa2例, IIIb18例) ではCT分類が重症なものほど造影CTや血管造影で血管外漏出像が描出される頻度が高くなり, 損傷分類が同じ場合には, より損傷区域が広範なものにその頻度が高かった. 術後に胆汁痩を発症した6症例では67%にCTか血管造影で血管外漏出像が描出されていた. 一方, 脾損傷9例 (IIIc5例, IIId4例) に関しては造影CTと血管造影の出血性所見の描出は非常に類似し, ほぼ一致していた. また肝損傷と同様にCT分類が重症なものほど血管外漏出像の描出率は高かった. 肝, 脾損傷の動脈塞栓術後には時に遅発性の出血性合併症が報告されているが, これらは塞栓方法を工夫することでその頻度を減少させることが可能と思われた. われわれは区域あるいは亜区域動脈レベルでの塞栓術を施行し, 良好な止血効果と再出血の防止, および非損傷部肝, 脾の臓器機能温存が得られた.
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