2003 年 23 巻 5 号 p. 721-727
開胸開腹食道亜全摘術を施行した53例を対象とし, 術後の重篤な合併症のrisk factorおよびその病態について検討した. さらにエンドトキシンショック症例の特徴, 診断のポイントおよび血液浄化療法の有用性について検討した. 重篤な合併症を併発するrisk factorは, 宿主因子では耐糖能障害, 摂食障害, 術前細菌培養陽性, 侵襲因子では術中輸血の有無Neoadluvant therapy, 手術時間, であった. 術後合併症の予防には術前栄養および免疫能の改善が重要と考えられた. また, エンドトキシンショックは術後1日以内に発症し, hypovolemic shockなどの鑑別に時間を要した. 原因としては術前感染症が推察され, 術直前の感染症検査は, 合併症の鑑別診断と同時に予防にも有用と考えられた. エンドトキシンショックの救急処置としては, エンドトキシン吸着療法 (PMX-DHP) を含む血液浄化療法が有効であり, 速やかな施行と同時に感染源の治療を行うことが重要と考えられた.