2003 年 23 巻 5 号 p. 729-734
食道癌術後の縫合不全は, 幾つかの要因が複合的に存在し発生することが推測される. 全身的要因, 局所的要因さらに, 用いられる再建臓器や再建経路によつても異なる. 医療技術が進歩し, 優れた機材が開発されても, 切除, 再建を必要とする外科手術では宿命的な合併症である. 治療法も各病態により大きく異なり, 局所の処置で対応できる症例, 臓器壊死を伴い緊急手術を必要とする症例, 縦隔膿瘍を併発し縦隔ドレナージ術が必要となる症例とさまざまである. 本項では縫合不全の診断と全身状態を悪化させないための適切な緊急処置とその後の管理法について解説した.