日本腹部救急医学会雑誌
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胃癌術後縫合不全に伴う重症合併症に対する治療とその成績
廣瀬 和郎佐藤 嘉紀村上 真廣野 靖夫前田 浩幸五井 孝憲石田 誠片山 寛次山口 明夫
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キーワード: 縫合不全, 臓器不全
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2003 年 23 巻 5 号 p. 741-748

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抄録

胃癌切除例724例のうち消化管縫合不全は66例 (9.1%) で, そのうち臓器不全または多量の体腔内出血を生じた重症合併症は13例 (19%) であった. すべて胃全摘例で, stageIII-IV, D2-D3郭清, あるいは, 膵や脾の合併切除を行った根治切除例が多かった. 多量出血を生じた5例 (2例に呼吸不全併発) には, 迅速な外科的ドレナージおよびInterventional radiology (IVR) に基づく動脈塞栓術または再手術を行い止血し救命できた. しかし, 2例が再出血し, 再度のドレナージとIVRによる止血を要した. その他8例では臓器不全のみ (肺5例, 腎1例, 多臓器不全2例) を生じた. このうち, 6例は臓器不全に対する迅速な治療とドレナージが有効であり救命できたが, 2例は腎不全あるいは重症誤嚥性肺炎から多臓器不全を併発し在院死亡した. 以上より, 胃癌術後の縫合不全に臓器不全や多量出血を併発した重症例においても, 大多数の症例は迅速で適切な治療を行うことにより救命が可能と考えられる.

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