日本腹部救急医学会雑誌
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大腸癌術後合併症に対する再開腹例の検討
杉山 保幸川口 順敬田中 千弘松橋 延壽今井 寿
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2003 年 23 巻 5 号 p. 749-756

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抄録

過去8年間の大腸癌手術385例中, 術後早期の腹部合併症は29例で, このうち再開腹したのは, 縫合不全: 21例中8例, イレウス: 6例中3例, 虚血性大腸炎と特発性十二指腸穿孔が各1例であった. 縫合不全徴候の出現は再開腹群の方が保存的治療群と比較して早く, CRPや白血球数は高値を呈する症例が多かった. 縫合不全部が1/8周以下であった4例には吻合部に操作を加えずにドレナージのみとしてループ式ストーマを, 吻合部が半周以上離開していた2例には吻合部を切除後, 肛門側を盲端として単孔式ストーマを造設した. リークの部位が判然としなかった2例には腹腔内洗浄後にドレナージのみ行った. イレウスをきたした6例に対しては全例ともイレウス管を留置したが, 症状が改善せず, 造影検査で機械的閉塞が疑われた3例で再開腹した. 術後早期の重篤な合併症に対しては, 全身状態や腹部の局所所見, 血液検査データ, 画像所見などを総合的に判断して迅速に手術適応の有無を決定すべきである.

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