抄録
近年の技術進歩により,特別支援学校の教師は新しいテクノロジーを用いたAssistive Technology(AT)やICTの活用が求められている。これらの新しいテクノロジーを教師が主体的に活用する際,他の教師をはじめとした活用主体の教師を取り巻く他者の存在が影響することから,本研究では,学校外の人材とのどのような関わりが支援学校教師のテクノロジー活用における主体的な行動を促すのかを明らかにすることを目的とした。具体的な事例として,テレプレゼンスロボットOriHimeを導入した教師の詳細な実践の展開プロセスに関するインタビューを分析した。その結果,教師には主体的に行動できる範囲があり,それは他の教師や外部人材との連携によって拡大していくこと,外部人材はその範囲を拡大するために関わりを持つことが重要であることが分かった。本研究で取り上げた事例では,外部人材である研究者や学生が,積極的に教師と関わり連携実践を構築することで,教師の主体的な行動が可能な範囲を拡大していた。