抄録
本研究では,「子ども主体」,「ICT活用」に関心を向け,それに取り組み続けてきた教師(熟達教師)がどのような信念形成を辿ってきたのか,ある熟達教師Aを対象にインタビューを試み,その事例からわかる特徴を分析した。結果,①教職経験全体を通して,いずれの局面においても「学校研究」を契機として,信念形成をしていること,②子ども主体に関わる信念形成について,経験を重ねる度に,段階的に子ども自身へ能力形成の主導権を移行しようとしてきたこと,③「ICT活用を目的とする信念」から「ICT活用を子ども主体の手段として生かす信念」へと変容し,授業イノベーションがスムーズに起こることが示唆された。