抄録
GIGAスクール構想によって,学校に1クラス分程度のPC環境から全ての児童に1台のPC環境へと変化した。本研究では,こうした新しい環境を日常的に活用している児童の意識を明らかにすることを目的とした。結果,1)PC導入前と比較して,授業や学校が楽しくなったことを特に大きな変化と感じていたこと,2)PC導入前と比較して,資料を読みとる,文章を書く,友達と話す等の学習場面の時間が増加したと感じていたこと,3)家庭では,特に授業や学校に関する連絡を行うためにPCを活用していること,4)PCの操作や情報モラルが意図的に指導され,児童は自信をもっていたこと,5)「学習のために活用する」というPC活用の大綱的なルールは,児童に肯定的に評価されていたこと等が示唆された。新しいPC環境を有効に活用するために,例えばクラウド上のコミュニケーションを認めた上で適切な指導を行うなど,新しい環境に適した施策が求められる。また,授業や学習場面だけにとどまらない,学校生活全体の基盤としてのPC活用に関する研究が求められる。