抄録
日常的に他者参照を活用して学習を行っている学級を対象とし,最終的な回答が1つに定まらない社会科の課題と最終的な回答が1つに定まる数学科の課題について,他者参照に関する事例を調査した。結果,(1)95%以上の生徒が他者参照を経験していること,(2)社会科の課題で93.2%,数学科の課題で86.8%の生徒が1つの課題で複数回他者参照し,参照回数は2回~5回が最も多いこと,(3)他者参照されることに否定的な意識を抱いている生徒は1割未満であること,(4)他者参照は一方向のアクションである一方,社会的存在感に影響を及ぼす可能性があること,(5)課題を進めることへの困難の解決と他者参照した後に模倣する行為との関連は低いこと,(6)他者参照する理由は,社会科の課題では自己成果を向上させることや理解を深めることが63.9%を占める一方,数学科の課題では課題を進めることへの困難を解決することや自分の回答について確認すること,自信をもつことが66.0%を占めることが明らかになった。