抄録
本研究では,中学校の地層学習のフィールドワークにおいてVR(Virtual Reality)教材を活用し,野外観察の事前または事後においてVR教材を活用した際の生徒の空間概念の働きの違いを考察した。生徒を野外観察の前にVR教材を活用するVR先行群と,野外観察の後にVR教材を活用するリアル先行群に分けて実践し,生徒の空間への気づきや問いについて調査した。その結果,生徒がVR教材を活用した観察から得られる気づいたことについては,活用の順序に関係なく空間概念が働くこと,観察から得られる考察については野外観察の後に活用した方が空間概念が働きやすいこと,観察から得られる疑問については野外観察の前に活用した方が空間概念を働かせやすいことが示唆された。結果に基づき,VR教材の活用方法や必要な指導を提案した。