教育メディア研究
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子どもの撮影行為を起点とする「意味生成」に関する研究
中村 恵小柳 和喜雄
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 32 巻 1 号 p. 23-40

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抄録
本研究は,子どもの自由な撮影行為に着目し,子どもがどのように意味を生成するか,またそのプロセスが保育者のまなざしや省察にどのような変容をもたらすかを明らかにすることを目的とする。 この目的に基づき,文化を生成的に捉える視点に立脚して子どもの撮影行為を文化的実践として捉えた実践的研究を行った。5歳児が自由にタブレット端末で撮影した写真や動画を活用し,子どもと保育者の対話や保育者への半構造化インタビューを通じてデータを収集・分析した。その結果,特に撮影行為が,意味生成の契機となることが明らかになった。また,子どもと保育者が撮影した映像を一緒に見ながら行う対話が,子どもの語りや対象への意味づけを引き出し,保育者が子どもを「意味生成の主体」として再認識し,省察を深めることが示された。さらに,撮影ツールが子どもと保育者の相互的な意味生成を促進する文化的資源として機能することを明らかにした。
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© 2025 日本教育メディア学会
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