抄録
異文化シミュレーション「エコトノス」は,2021年にオンライン化され海外赴任者事前研修として提供されてきた。本研究は参加者の行動変容の前提になる差異に対する情報処理,知覚構造及び反応の特徴に注目した『異文化意識開発プロファイル(DPIC)』を使用して,その教育効果について検証する。有効対象者は大手製造業の関連企業48社から派遣された海外赴任予定者196名である。調査の結果,オンラインによる制約(通信環境の安定性の確保,非言語コミュニケーションの制限)があっても,参加者に効果的な知覚の変化を促していることが確認された。また,参加者の属性に関係なく幅広い層に効果がある異文化シミュレーションであることが確認された。