抄録
映像視聴能力研究をすすめていくためには、番組を一つのシステムととらえ、その構造に着目した分析が有効であることを提案した。次いで学校放送理科番組をとりあげ、制作時期、内容、対象学年の異なる複数の番組を、システムの構造という視点から分析し、その違いを明らかにした。その結果、番組構造として「ツリー構造」と「ネットワーク構造」とがみられ、それぞれ制作意図が異なっていることが明らかとなった。また、大学生を対象とした試験的な調査により、「ネットワーク構造」の番組は視聴者のさまざまな反応を引き起こすことなどが明らかとなった。それらを踏まえ、今後はこうした多様な構造をもつ番組が必要であることを提案した。