2021 年 77 巻 2 号 p. 31-48
博多港では「博多湾NEXT会議」が設立され,アマモ場づくりを中心に環境保全創造に取組んでいるが,今般ブルーカーボン(BC)オフセット制度並びに入港料の一部と寄付金を活動の財源として活用し,かつ基金として積立てる制度が創設された.しかし,BCオフセット制度は,BCが我が国の現在のNDCに含まれていない点でパリ協定の枠組みの中の制度ではなく,クレジット創出量や販売額が少なく効果の説明が困難なことから企業のESG経営等に対して十分な訴求力はない.寄付金等制度も,寄付者へのインセンティブがなく,寄付へのモチベーションが高まりにくいという課題がある.本稿ではこうした課題の解決策や,アマモ場のコベネフィットを評価する制度への拡充により独立採算での環境保全創造事業の実施も可能となるという今後の展望を示す.