抄録
教員養成系大学生20名がメディア・リテラシー学習において,自分のメディア接触経験について生成AIを用いた動画制作をすることによる,著作権侵害リスクと授業での利用とのアンビバレンスを明らかにした。動画制作後でも,著作権侵害リスクが残り,授業の利用可能性が100%未満の学習者が半数以上であった。このことから,メディア史動画制作には著作権侵害リスクがある一方で,授業でのその動画の利用可能性が100%とは考えないというアンビバレンスな態度があることが明らかになった。また,動画制作前には,著作権侵害リスクが生成AI利用動画の方が生成AI非利用動画よりも高かったものの,動画制作後にはその違いはなかった。そして動画制作後にリスクが低くなることもなかった。さらに学習者は生成AIの動画制作における様々な問題を指摘しており,それは現在の生成AIが日本の論理的思考と異なっていることが想定された。